2016/11/06
銀座メゾンエルメス*ミシェル・ブラジー展~時間がつくるアートになごむ~
物質と自然とがユーモラスに混在
銀座のメゾンエルメスで開催されているミシェル・ブラジー展へ行ってきました。
インパクトのある写真を見て、これはかなり好みのタイプと勝手に想像していたのですが期待通りの展覧会でした。
ホウキモロコシの種をつけた育つほうき
これは全部ホウキモロコシというほうきの材料になる草。
ほうきにホウキモロコシの種を付けたのが7月18日(パンフレットによると)なので4ヶ月弱で伸びてきて様子が変化してるってことですかね。
たぶん最初は土の上にふわふわと緑が生えててほうきのほうが目立ってたんでしょう。
もし、日当たりのいい外での展示だったらもうすでにほうきが隠れるくらい緑に覆われているのかもしれません。
係りの方にいろいろ聞いてみるとこのほうきは日本の職人がつくったほうきらしい。
ひとつひとつの鉢は正直「ん?」って思うようなものですが、こうして全体で見ると配置の妙にうなってしまいます。
この配置バランス。
バックの壁は全体が最初右側のドア部分のようなブルーだったらしい(係りの方談)。
それがだんだん時間が経過するとともにドア部分以外の壁は水色からグレイに色が落ちていき、寒天でコーティングされた壁面がだんだんひび割れて剥離されていくがままになっている。
ぱっと見たとき、わざとはがしているのかと思ったら自然にこうなっているのだそう。
これも時間の経過の表現。
かたつむりにまかせたカーペット
あ、この展覧会のテーマは「リビングルーム」。
物質と自然が渾然となった中でくつろぐ部屋をつくったのかな。
なので、カーペットだって、ほら。
模様は生きてるカタツムリがきままに動いたあとの粘液がつくったもの。
展示中ずっとカタツムリが模様を描き続けているわけです。
近寄ってみると確かに動いてる。生きてます。しかもでかい。色も濃い。
係りの方に尋ねると、「埼玉の山でいきのいいのを探してきてる」とのこと。
しかも、昨日入れ替えたばかりなので今日はとっても動きがいいとのことでした(動き、いいんだ。。ごめん。わからんです。)。
2ヶ月以上の展示なので何度かカタツムリも入れ替えているんでしょうね。
モノと植物
エルメスの8Fにギャラリーはあるのですが、エレベーターから出るといきなりこんな作品が。
HPで概要を見たときに、ふ~んて感じで、まあ、変わった試みをしているんだな、アーテイストだからな、って思ったんです。
若干、もし寒い感じの作品だったらどうしよう。。みたいな。
しかし、、
杞憂でした。
とってつけた感や奇をてらった感はまったく感じなかった。
というよりも家電や靴と植物の一体感に美しさを感じたんです。
あ、このミシェル・ブラジーという人は本当にすべてひっくるめての存在なんだなと思った。
自然てこうだよねって感じというか。
かなり好きです。この作品。
時間をかけてつくって時間をかけて展示する
会場でいただいたパンフレット、実は帰ってから開きました。
わぁ~、やっぱりすべてかなり時間をかけながらつくって展示しているんですね。
で、大変なことに気付いた。
ホウキモロコシの作品とカタツムリの作品と物質と植物の作品に気をとられすぎて、ほかにも作品があったのに見てなかった。。。。
あほちゃう?
いや、それだけなんだかそれらの作品が自分の感覚としっくりきていたんだとおもいます。
こんなふうに。
「リビングルーム」は11月27日(日)まで開催中。
もう一度行ってドローイングと平面の作品とかしっかり見てこよう。
平面の作品もねずみにかじらせたりしてておもしろかったし。
まとめ
*ミシェル・ブラジーはモナコ生まれのフランス人作家
*カタツムリは埼玉からやってきた
*空間作品が気持ちいい
*時間の経過を楽しむのは花の仕事と同じ
*係りの方が親切
「いつまでも変わらないものも価値だけど、時間とともに変化するものにはその都度たくさんの発見があるニャ」