2023/07/240 Shares

雑草を「雑」に扱わない本〜庭時間が愉しくなる雑草の事典

雑草っていう言葉が好きじゃない。

なぜならそのひとつひとつに名前と個性があるから。

「雑」という字にざわっとするんですよね。

仕事は美麗な花をなりわいとしてますが、植物全般好きで雑草といわれるものも例外ではありません。
なので雑草の本や図鑑もたくさんみてきたんです。
それなりに楽しめるんだけど、なんかやはり雑草の「雑」さがぬぐいきれないものばかり。

で、この本。

「庭時間が愉しくなる雑草の事典」

本屋で見て、あ、なんか違う‥と。 ふつう庭仕事では雑草は敵視され、見つけたと同時に親の敵のように根こそぎ葬られるものなんだけどな。

どうやら著者の森昭彦さんという方は、気に入った雑草があると庭に「お迎え」しているらしい。
そして他の植物を侵食するばあいは「お引取り」ねがっている。

こうしたガーデナーは珍しい。

お気に入りの園芸種を麗しく健やかに育てるためにそのへんの雑魚ならぬ雑草は駆除するのが普通だから。

花の仕事をしているとよく感じることなんですが、たしかに華やかな色、姿、形の花は美しい。
それをブーケやアレンジにつくるとき、どこかにホッとする草や素朴な葉っぱが入るといちだんとグレードが上がるんです。

感じが良くなるというのかな。
奥行きが出るというのかな。
余裕を感じるというのかな。

この本はわたしが心がけている花のアレンジのような内容なんです。

だから表紙に惹きつけられ、めくって引き寄せられたのかも。

著者は園芸種もたくさん育てていて、おそらくそっちがメイン。
でも雑草の美しさも大好きで それぞれの雑草をけっして「雑」に扱っていない。
それぞれの個性にあった見出しも楽しい。

だからといって雑草ウエルカム!という内容じゃなくて、雑草も園芸種も同じ植物としての目線なのがいい。
繁殖しすぎたら刈るしじゃまになったら抜くしやばいと思ったら増えない工夫をしている。
美麗な園芸種だけがお庭の花だと思っている人には理解できない世界かも。

そういえば 子供の頃、妹が庭にヘビイチゴを植えた。
妹は小さな花や草が好きで自分でせっせと草をとってきては植えていたんです。

ある日白く可憐な花を咲かせていたヘビイチゴがごっそりなくなってた。

大輪の薔薇、大輪の菊、大輪の牡丹、たわわな紫陽花、八重咲きの椿など、カレイでゴージャスな花が大好きな祖母にとって雑草でしかなかったんですよね。
ヘビイチゴの可愛らしさなんて理解するのはムリ。

そんなもんなんだ、世界って。
なんてシニカルに思ったことがあったナ。

派手じゃなく素朴だけど強くてしたたか。 そんな雑草と呼ばれる草をぜひ知ってほしくて紹介したこの本。

一言でいえば一緒に楽しむにはまず相手を知ることからだよね、っていう内容です。

個人的に難を言えば科名がないことかな。
花の名前や生育期間などは載ってますが、「キク科」とか「セリ科」などの科名がないんです。
調べればいいんですがめんどうだなと。

科名を知るとだいたいその特徴がわかるのでわたしには大事なんですよね。
それだけはちょっと物申したい。

とはいえ客観的な雑草辞典ではなく、実際に自分の庭に雑草をいくつもお迎えしてその美しさや生命力の強さを体験した人じゃないと書けない実感あふれる内容です。
名前を知るだけでも「雑」じゃなくなるのでオススメ。

牧野富太郎博士も言ってます。
「雑草と言われる植物はない」

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