これからも花は売れる*バブル期は異常だっただけ*
30数年前、知らない方も多いかもしれませんが、ちょうど私が花屋を始める直前当たりの頃、「バブル」といわれる時期がありました。
そのころは花産業はその名の通り花形で、2兆円産業ともてはやされて飛ぶ鳥を落とす勢いで伸びていました。
そうそう、自社ビル建てた花屋さんもたくさんいましたよ。
で、今。
今の花き業界の流通は年間6000億~7000億円。
バブル期の3分の1ですね。
少し前までこのことは花き業界の衰退と思っていたのですが、最近はそうじゃないという気がしています。
もちろん流通量だけを見ると確かに斜陽産業に見えますが、そうじゃなくてバブルの時が異常なピークだっただけだと。
30年くらいかけてずっと下降し続けてるのは斜陽でしょ、と思うかもしれません。
私もちょっとまえまではそう思っていました。
でも、たぶん違う。
理由は、売れているところは売れているから。
つまり、売れないところが売れなくなって、売れるところは売れている、というあたりまえのことがずっとずっと続いていて、ニーズの変化や時代の変化に対応できないところが淘汰されるのは花き業界に限らずすべてに言えること。
そう考えると、去年から世界がガラッと変わったことに対応しようとしている、または対応している店は伸びているし、従来のやり方を何も変えようとしていない店は苦しくなっているのは必然だと思います。
ガラッと変わった社会っていったい何?という方も多いかもしれませんが、要するにQOL(クオリティオブライフ)の比重が大きくなってきて、これからもっともっと「お金より時間」の比重が重くなっていくということですね。
時代が変化すると前に戻ることはありません。
昭和の時代の成長が当たり前の時代はもう来ないし、それを知っている我々にとっては2兆円から7000億円になることは下降と思うかもしれませんが、ここ10年くらいで花の仕事を始めた方にとっては、すでにそのくらいの流通量だったわけですから下降の実感は、正直ないと思います。
そして今、これまでなかったような変化が強制的に進んでいて、花を売るという形もどんどん変化していくのは当たり前に想像できることですね。
今までだってQOLは大切だ、もっと意識しよう、という啓蒙活動はいたるところでありましたが、社会変化がない状態で、右肩上がりの経済成長が正解という価値観の中では、そう思っていてもなかなか実現しづらかった。
ところが。
すべての人がとは言いませんが、明らかに今までとは違う生活の仕方、働き方、経済活動、などを意識して実践する人がかなり多くなっています。
その人たちが意識するQOLの豊かさの実感の中には必ず花がある。
自分らしい生活、お金を稼ぐことより豊かな時間、消費より充実。。
バブル期の花の需要とは全く違った、自分のための花需要。
これ、長い目で見ると花の需要のすそ野がものすごく広がるわけです。
パーティやイベントで1回100万円を数年だけ売り上げるより、一人の人が年間1万円消費し続けるほうが全体からみるとはるかに花き業界にとっていいと思いませんか。
時代は進みます。
絶対に前には戻らない。
前のことを懐かしがってそこに戻そうとするよりも、これからのことを考えて今やるべきことをやるほうがたぶん前に進みやすい。
バブルは楽しかったけど異常だった。
3分の一になった今が普通。
そしてこれからその需要は減らないと思う。
なぜなら普通に花を飾る人が増えていくから。
一人が年間10000円花を買うのって、そんなにハードルは高くないと思います。
今よく目にするサブスクで毎週500円の花を買うと月2000円だから年間24000円。隔週でも年間12000円。
そして、イベントや行事の時にギフト送ったりと花を意識する機会は一人が目覚めることによってものすごく広がっていきます。
花の需要は減らないし、流通量がいきなり伸びなくても購買層のすそ野は確実に広がっているので、私はますますこれから花の需要には期待ができるなと考えているわけです。
あ、もちろん、時代の変化や社会の状況や人々のニーズを意識しないとだめですよ^^