2018/10/31
国際EXPOセミナー報告「10年後にも花屋を続けているためには」
先日参加した国際EXPOでのセミナー受講報告です。
私が受講したのは、長野県の花屋「ヌボー生花店」山崎社長のセミナーでした。
「10年後に花屋を続けるために」という感じのタイトルでした。
実際に花屋をやっている人が、10年後の花屋に対してどのような動きをしようとしているのか、現実的な提案なのか、実際に何をして成果を上げているのかなどなど、結構興味をもっての参加。
趣味というか、癖というか、何かに参加するときは必ず一番前の席に座ることにしているのですが、この時は出遅れたため2番目の席で。
花屋にこだわらず多店舗展開
ヌボー生花店として、花を中心に販売しているかと思いきや花屋としては1店舗だそうです。
では、どのような店舗を展開しているのでしょうか。
その中には、レストランやスィーツショップも含まれ、店内の装飾はもちろん自店で、レストランウェディングのときのブーケや装飾も自店で、引き出物はスィーツショップで、と独立はしていますがすべてで花の需要が生まれるようになっているのです。
花の仕事としてほかには、イベントやパーティなどの空間装飾、受注したウェディングや葬儀、などもありますが、実際はそれほどの売り上げにはなっていないとのこと。
そのほかにもグリーンポケットという緑のレンタル会社とフランチャイズ契約をして、会社やビルにグリーンを配達しています。
最近は企業も緑化に意識が高くなってきているので、毎月の継続収入として成り立っているそうです。
やってみて、これはいい!と実感しているのが造園業。
本格的な造園ではなく個人の庭師として庭をメンテナンスするというものです。
造園屋の高齢化により業者は減ってきていますが、逆にニーズは増えていると山崎さん。
しかも、材料がいらないので利益率がいいのが魅力です。
この「Oh!庭ya!」は「儲かる!」と実感しているので、営業して増やしていっているとのこと、隙間だけど庭を持つ家の人にとっては必須アイテムかもしれませんね。
経営者は経営が仕事
花屋が異業種の店を多店舗展開することについて、社内でもかなり激しい反対があったそうです。
多角化の一番の悩みは、花屋なのに花をやらないことについて社員の理解を得られないことでした。
ただ、そう思われているとしても経営者として先のことを考えたら結果を出すしかない。
花屋に固執して売り上げが減った言ったら雇用も継続できなくなるのだから、とにかく社長として会社の存続、成長を仕事として取り組まねばならないのは確かにホントにそう。
ここが経営者と従業員の理解の溝ですよね。
とはいえ、社長が仕事をとってくれば会社は勢いづくし、従業員だってやることがないよりちょっと忙しいほうがいい状態で働くことができます。
山崎さんは社長として店や現場はすべて従業員に任せ、自分は社長として外に出たり専門家に採算管理をしてもらい会計士との面談を増やして管理にも気を付けているとのこと。
もうひとつの仕事はスタッフ育成。
人手不足の昨今、花業界も同じです。
新しい人を雇えないなら、今いる人たちが辞めなくてもいい仕組みを作る取り組みも。
10年後に残る花屋って
さて、タイトルの「10年後に残る花屋」ですが、はっきり言ってキビシイです。
私も同じようなことを考えていますが、山崎さんによる「地方の花屋の実態と近未来」では儲かっているのは葬儀をしっかりやっている会社とスーパーに卸している会社の二種類だけだそう。
葬儀は独占市場なのでうなずけます。スーパーは花束だけ卸しておけばあとはレジを通して売ってもらえるのでスタッフがいらない。
確かにね。
さらに、「それ以外はもうかっていないが、それらの花屋が10年後どうなっているかはわからない」と。
ええっ!
対策を聞きたいのですが。
「王道の花屋で設けている店はあまりない。5年後、10年後が心配だ。花屋も生産者も確実に減るし需要も確実に減少する」と。
そうなんですよね。
これが現実です。
そのうえで「ずっと続けていくためには今の仕事をきちんとやっていくしかない。これができないと生き残れない」と。
うん。
ただ、それは必要最低限の条件であって、それだけではしっかり打ち上げて利益を上げていくのはハッキリ言って無理かと。
しかし、ズバッと花屋の現状を歯に衣着せず話してくれたのは小気味いい感じを受けました。
というか、真剣に考えているからこそおためごかしではない厳しい話ができるんだと思います。
セミナーの感想
10年後に残る花屋についての具体的な対策はなかったのですが、厳しい現状は再認識できました。
要するに、10年後以降も残っていくためには
*圧倒的な強みを持つ店にする(カリスマ店長やスター店長がいるような)
*花をベースにした多角化経営
*ライフスタイルなど提案と花需要が半々のコンセプト販売
*店舗を持たずイベント販売
のような、今までの「花屋さん」的な販売方法から脱出することが必要なのかもしれません。
「花屋さん」的な販売は立地条件のいいところで店舗を構えることができる資本の大きな店だけになるかも。
それがいいのか悪いのかはわからないし、どちらでもいいと思います。
要は、自分の店の現状を現実的にとらえることが大事。
そして、その将来はどんななのか、明るければどうすれば伸ばせるか、暗雲立ち込めるなら、今、どのような対策が必要か。
何がしたかったのか、5年後、10年後にどうなっていたいのか、そのために必要なスキルはもっているか、持っていなければ取得するかどうか、、、
ヌボーの山崎さんの話したことは本当だと思います。
大なり小なり店を構える経営者として、変化に対応していくことは大事な仕事です。
今一度、これからの方向性をじっくり考えてみてはいかがでしょう~~^^
ps.先日の国際EXPOに行ってきたというブログを読んで、以前植物仲間インタビュー企画でお話を伺った武蔵野さんから連絡をいただきました。
同じセミナーに参加していたとのこと。全然わからなかった。失礼いたしました~~^^;
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