2016/11/07
あやかしと美形好きの方に贈る秋の夜長に楽しめるオススメ本5冊
日常の中の非日常が織り成す魅力本
秋は読書ということで昔からはまっている本をちょっとご紹介しようかなと思ってみたりしてやってみたりして。
以下の本は毎年1度は読み返しているかも。。というくらい大好きな本です。
こうしてみると今まで自分は現実的な実務派だと思っていましたがどうやらあやかし好きのひねくれものというほうがあっているような気が。。
「妖星伝」半村良著
40年ほど前に出版されたこの本、出版当時父の本棚に見つけて一気に全巻読んだ記憶が。
そのときの本は文庫ではなくハードカバーでしかも1巻ずつ文字の色が違ってました。
なんてきれいな本だろうと思った。
数年前、それが文庫になって改めて出版されていたので買って読んで、またまた病みつきに。
歴史の中で絶対彼らのような鬼道衆がいたに違いない(今だって形を変えているに違いない)と思っているくらい、フィクションだとわかってはいてもなんかリアリティを感じてしまうのはきっとこの本のファンならたくさんいるはず。。なんて。
神、宗教、歴史、宇宙、生、死、富、貧、時間、愛、性、、ありとあらゆるすべてのものを包括して江戸時代という閉ざされた空間の中で繰り広げられるストーリーはまたたくまに読んでいるものをその舞台に引っ張り込んでくれる。
生命の誕生した意味、これからの宇宙、そして、何で人間が地球に存在しているのか、とても伝奇SF 小説とだけでくくりきれない内容です。
作者の半村良氏の本はこのあともいろいろ読みました。
どれもキホン好きなのですが、やっぱり群を抜いて「妖星伝」がオススメ。
ちなみにイーデスハンソンのファンだからペンネームを半村良にしたって、結構お茶目な作家だったんだな。
「The Book」乙一著・荒木飛呂彦著
「ジョジョの奇妙な冒険」はジャンプに連載していたときからずっと読んでて、コミックスは1巻から全巻(今も続く)持っててやはり年に1度は全巻読み返してます。
この「The Book」はその第4部、杜王町編のスピンアウト小説。
ジョジョのスピンアウト小説は「恥知らずのパープルヘイズ」上遠野浩平・荒木飛呂彦著「JOJO’S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN」西尾維新・荒木飛呂彦著 がありますが、私は「The Book」がオススメです。
というか、実は「JOJO’S BIZARRE ADVENTURE OVER HEAVEN」は読んでませんからなんともいえないのですが、Dioがメインの内容ということでなんとなく暗く陰湿で残酷なイメージがして買ってない。
あ、Dio様は嫌いなキャラクターではないんですが、メインとしてしかも小説としてだとちょっときつい気がして。
あ、スミマセン横道にそれました。
ジョジョ第4部の杜王町編は小さな町の中でおこる数々の奇異な出来事を日常と絡めながら描いていて、「The Book」もジョジョの主人公たちと同じ高校に通う男子高校生の物語です。
漫画で読むとスタンドが視覚的にわかるのでイメージしやすいけど小説だとどんなもんかなと思いきや、乙一氏のジョジョ愛がとっても高いことが理解できる。
キャラクターの文章も漫画のキャラクターのイメージを損なわずにさらにいきいきと文字のなかで動く姿が想像できるくらい。
もし、この本を読んだらぜひジョジョの杜王町編を全部読んでほしい。
というか、もし、この本を読む気になったら、そしてホントに読もうと思ったら、先に杜王町編を全部読んでからをオススメします。
あ、でも、さきにこっちからでも十分小説として楽しめますよ。
ちなみにまったくこの本とは関係ないですが私の好きなキャラクターはイタリア編のナランチャ・ギルガ(スタンドはエアロスミス)です。
「百鬼夜行抄」今市子著
百鬼夜行抄 新版 コミック 1-24巻セット (Nemuki+コミックス)
なんかあやかし物ばかり続いてて恐縮です。
でもすき。
「百鬼夜行抄」もずっと続いている漫画ですが、なんせまとめて1冊出るペースが遅い。
とはいえすでに25巻出ててまだ続いてますから著者の今市子氏のライフワークみたいなものかもしれません。
何が好きかって、今市子氏の絵が好き。
細部までキレイなんです。
それに、カットの中に噴出しのせりふ以外の手書きせりふがいいんです。
なんてことのない日常生活の中に潜む普通の人にはみえないもうひとつの世界の住人たちと主人公の飯嶋律との関係があやういけどどこか信頼関係もあってなんか好き。
キャラクターがすべて際立っているのでわかりやすいしこう、テンポがいい。
落語のいいのをきいてるとテンポがよくて気持ちがよくなってくることがあるのですが、この漫画はそんな落語に通じる間のよさがあります。
何度読み返しても飽きないっていうのはそこかも。
「反社会学講座」パオロ・マッツァリーノ著
こちらはぐぐっと現実的です。
社会学というわけのわからない無責任な学問(これを読むと確かにそうだと思ってしまう)ものに、統計データをもとにスパッと目を覚ませてくれる(ような気がする)本です。
体制の都合に合わせて美談をえさに国民を都合よくせっせと働かせて、その上がりを少数の富裕層がちゃっかりもっていくようなシステムができあがっているんだということが、やっぱりホントなんだなとわかってしまうけど、けどだからこうしなきゃだめだ、ああせねばならない、戦いたまえ、とかはまったくありません。
はは~、ニートもフリーターも(あ、これは2004年の刊行なのでちょっと古い単語があります)江戸時代からしっかり日本人の気質としてあったんだな~とか、役所はふれあいが好き(要するにうわべのおためごかし的なもの)とか、がんばればがんばるほど不況が深刻化する(すごく実感)とか、単なる物知りを思考力や判断力と勘違いしている(根拠なくちょっとネットで調べただけでわかったふうなこと言う人確かにいる)人達のもっともな説に日ごろへぇ~って思ってしまったりしている私なんかからすると、データと統計と分析と調査という根拠をもとに述べられているので妙に説得されてしまいます。
何がどうおかしいのかがよくわかるのですが読んで怒ってしまう人もいるかもねと思う1冊です。
この本のあと「続・反社会学講座」「誰も調べなかった日本史」というのも読みましたがいずれも調査に時間をかけてる感が満載です。
ちなみに文庫の表紙の吉田戦車の画がいい味出してます。
著者のパオロ・マッツァリーノ氏は自称イタリア人の戯作者です。
追記:「フェデリコ・カルパッチョの極上の憂鬱 」(幻冬舎文庫) も自称イタリア人からみた日本のなんかちょっとおかしいところを書いてて同種かも。
「百億の昼と千億の夜」光瀬龍著・萩尾望都著
これはもうクラシックの部類に入るSFファンタジーでは。
何度読んだか。
たぶんこれからも読む。
光瀬龍氏の小説版も好きです。
萩尾望都氏の漫画も原作とはまた別の味わいが。
宇宙の中の地球という視点で進んでいくストーリーがなんかすきなのかも。
自分の意思があるような気がしててもそれはもっと大いなる何かに長い時間をかけて仕組まれているストーリー上のひとこまでしかない。
けれど、その超短いひとこまをどう生きてどうかかわっていくべきなのか、いや、そんなことさえも考える必要はなくただただ生きていくべきなのかなんて、壮大な宇宙観ではあってもそこに生きる生命としての役割(役割すらないのかもしれないけど)を意思のある思考する人間としてじゃあどう生きればいいのかな、とか考えてしまう。
いつも答えは出ないけど。
ちなみに萩尾望都氏の漫画は宇宙、特に火星をテーマにした作品が多くて「スターレッド」とかもいいです。
まとめ
*どうやらあやかしものが好みだ
*美形が出てくるものに弱い
*宇宙から見た地球、的な話に弱い
*絶対目に見えないモノの力がうずまいている
*根拠のない社会学や理想論や懐古趣味はキライ
というわけで、なんだか好きな本を紹介するってこんなに恥ずかしいものなのかと改めて感じているしだいでございます。
もし、興味があればぜひ読んでみてください。
作品について語り合うなんてヤボなことはしませんが、心の中でひっそりと(ああ、同じものがすきなのね)と思えるだけでもなんか幸せなような気がするような気がします。