「花の都プロジェクト」シンポジウムに行ってきました
先日代々木のSYDホールで開催された、「花の都プロジェクト」シンポジウム~地域の力で花の街づくり、人づくり~に行ってきました。
これは、2020年大会を見据えた花と緑の創出を目的とした東京都の取り組み状況の報告といった内容です。
昨年もこの趣旨の同じシンポジウムに参加しましたが、今回は2020年大会が終わった後も継続的に花と緑の活動を広めていくためにどうすればいいかということが印象的でした。
基調講演をしてくださった千葉大学の渡辺均准教授のお話は具体例も豊富で、花屋という小売店にとっても現実的に共感できるものがたくさんありました。
中でも「地域に植物についてよくわかる人がいないと活性化していかない」という言葉は、今までいろんな講演会に参加したけど初めて聞いたかもしれません。
よく、地域ボランティアを募集したりいろんな講習会などに参加した人たちの協力で成り立っている話を聞きますが、もっと花や緑にかかわる人たちが積極的に情報発信していくことが大切だということだと。
渡辺准教授は都市環境園芸学の専門家として、人々の健康に役立つすべての植物を「健康機能性植物」と名付け植物と人とのかかわりを研究。
これは、以前紹介した「植物と人間の絆」という本と同じような内容ですが、より今の時代に合わせた活動・研究内容となっています。
画像が見づらくてすみません^^;
よくある花き生産出荷統計のグラフですので、大体大まかにわかればいいかなと思って。
要するに平成の30年間で最初は伸びたけどH10年ごろから徐々に下降気味。
つまり消費も減ってきているということです。
H23年に花壇用苗もの類の国内生産量がぐっと増えているのは、ガーデニングブームだったのかな。
今回は切り花ではなく花壇苗中心の話ですが、東京ではとくに花壇のある家がむつかしいという前提がありますよね。
消費者側の意識として手間がかかるとか、花は高いとか、スペースがないとか、時間がないとかいろいろありますし、植物が好きで庭に植えたりベランダで育てたりしていても、情報が得られないまま、また、知ろうとする努力もないまま植えたりすると、結局上手に育てられず失敗したという印象が残り二度と購入しないという負のスパイラルになることも。
また、流通や小売りサイドの意識も、どうしても低単価のものよりもギフト用の高単価商品を中心に扱う場合が現実にあるし、商品の販売に力を入れるのはいいのですが、商品知識が不足して消費者が本当に知りたい園芸情報や植物本来の特性などを伝えることができていない、などの課題も述べていました。
さらに、生産者側の意識として、品質の前に生産数量や価格や低コストに意識がいっていて、市場の規格に準拠していればいいという受け身の状態でいる限り技術改善が遅れることは否めないと厳しいお話も。
たとえば上のキンセンカは専門的に言えば薬漬けの花だそうです。
出荷時は非常にきれいな状態で短期で楽しむためには意味がありますが、植えて育てて成長の楽しみや携わる喜びを感じる植物として出荷されていないのです。
出荷時から短期間だけ楽しめる花なら切花でもいいんじゃないかな~なんて思ってしまいますが、何を目的として出荷されているのかがよくわかりません。
下の写真はペチュニアですが、店頭でお客さんが選ぶとき、花がいっぱい咲いていてボリュームがあるからついつい右を選ぶそうです。
しかし、実際は左の鉢を勧めてあげないと植えてからの楽しみが味わえないので、花屋さんなど小売り店はお客さんに正しい情報を提供して花を育てる喜びを教えてあげてほしいとのことでした。
まあ、このペチュニアはそもそも店頭で右側の状態のものは売ってないけどね^^と心中でつっこんだけど。
花や緑は地域活性の材料として非常にいい素材だと思います。
ただ、目的が間違ってしまうとただ街の空いたところになんだか花が植えられている状態で終わってしまいがちです。
目的はあくまでも持続可能な緑化活動。
そのためには住民側の積極的な参加が必要で、積極的に参加するようになるためには地域の活動や交流の活発化が必要で、交流を活発にするためには国や自治体との連携による活動拠点、イベントが必要です。
要するにやりなさいと言われなくても好きだから植物を育ててますという人が増えればいいわけで、とはいえ好きな人だけではまだまだ足りないから、隠れ植物好きをどうやって掘り起こしてどんどん花と緑にかかわっていく人を増やすかが課題ですね。
目的を履き違えるとこんなことになるという例。
上の写真は自治体で花壇づくりに取り込む意欲はあるけど、鳩よけの網をかぶせていていて地域の緑化活動としての機能はなくなってます。本末転倒例。
あ、これはきれいに植えられてていい感じじゃない!と思うかもしれませんが、持続可能な緑化を目的とするならこんなぎちぎちに花苗を植えることはいたしませんね。
これはただきれいに植えたというだけで、育てて植物と人とが絆を深めて成長をしていくという目的にはそぐわない形となっています。
こちらは道路の脇の街路樹の下に住民がいつからかルピナスを植えはじめ、この一角だけがルピナス街道として通る人の目を楽しませているそうです。
これは純粋に住民参加による継続的な緑化活動といえますが、現実的にはこの自治体から「やめろ」と言われたらできなくなってしまうあやうい活動なのです。
渡辺准教授も「行政がいいよといえば反対側の空いている土地も花いっぱいになる可能性があります」と話していましたが、地域住民と自治体とのコミュニケーションは非常に大切ですね。
個人でできる範囲って限られてますから。
小さい時に意識しなくても花に触れる機会があったり、通学路に花がいっぱい咲いていたりする記憶って大きくなっても印象としても残り続けますよね。
そういった無意識の体験てとても大事じゃないかと思います。
地域緑化活動のこれからとして、住民の積極的な意思表示や子供たちの地域参加はもちろんのこと、私たち花屋もニーズに合った植物の提案と正しい知識提供が求められているなと実感しました。
「地域住民のための学問として地域花壇学というものが必要になってきている」という渡辺准教授の言葉は、これからの花屋の可能性にも結び付く感じが。
小売り主体の店から提案・情報発信が主体のスタイルに変化させていくことが、これからは必須かもしれませんね^^
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