「植物仲間インタビュー企画」*葉っぱビジネス仕掛け人~「株式会社いろどり」横石知二さん~
今回の植物仲間インタビュー企画は、葉っぱビジネスを確立した株式会社いろどりの横石知二さん。
葉っぱビジネスって何?という方も、小さな山村でおばあちゃんがパソコンを使いこなし、年収1000万を稼いでいる人もいるというドキュメンタリー番組を見たことがあるのでは。
実は私、その番組で知るまでは徳島出身者のくせに全く知りませんでした。
というか、上勝って行ったことなかった。
すごい遠くの山の中というイメージで。
そんな上勝町の復興と再生を調べているうちに、この、横石さんの考え方は花の世界にも通じるし、これからの地域活性のヒントにもなるし、なにより一人の人間として輝くことが素晴らしいし、大切だということに気づいたのでした。
偶然野菜ソムリエをやっている友人が横石さんを知っていると聞いて、「ぜひお話を伺いたい」と頼んでセッティングしてもらい上勝町へ。
月ケ谷温泉施設4階にある株式会社いろどりに行くと、電話で活発にやり取りしている横石さんの姿が。
「ああ。。忙しい方だからあまり長居をすると迷惑かな」という不安が一瞬よぎりましたが、話を伺っているうちに内容が、腑に落ちすぎ、楽しすぎ、で、気づくと2時間近く過ぎていた(汗)。
葉っぱビジネスの詳しいことは横石さんの著書「そうだ、葉っぱを売ろう!」につまびらかにされています。
どんなふうに葉っぱビジネスを始めることになったのか、その過程の大変さ、変わっていく上勝町の人たち、周りからの評価、などなどぜひ読んでください。
「そうだ、葉っぱを売ろう!過疎の町、どん底からの再生」
横石知二著 SBクリエイティブ刊
高く売れる葉っぱとは、を求めて自費で料亭通いを続けた日々。
2年間車で寝泊まりして葉っぱを市場に行商した日々。
上勝の人たちに「葉っぱなんて」といわれてもあきらめなかった日々。
葉っぱが売れておばあちゃんたちが変わっていく日々。
継続可能なしくみづくりに奮闘する日々。
実際に自分で行動してきた人だけが語ることのできる、きらりとした言葉がいたるところにちりばめられています。
ちなみに、私は横石さんが辞めると決心したときに村の人々が嘆願書を集めて上勝町に掛け合ったというくだりに感涙してしまいました。
今回伺った話の中でも行動した人だけが醸し出す説得力をずっと感じていました。
「結果を出すためには小さな実績の積み重ねが必要」
「うまくいかないことにエネルギーを費やすと徒労に終わる」
「少人数で核をつくり成功するとその他がなびいてくる」
など、すごく共感。
中でも
「今は競争の時代というよりも協調の時代。産地間競争はもはやナンセンス。同業者間でもいいものはどんどんつながっていけばいい」という考えはなるほどと。
確かに業界の中で1番になることよりも、それを買ってもらえることが成果ですよね。
技術や感覚の切磋琢磨の競争を目的にするのではなく、ランクアップした商品をつくる努力は当たり前で、その価値あるものをどう売っていくのか。
売れなければ徒労です。
そのためにも横石さんは「横串の時代」といいます。
市場、生産者、小売りなどこれまで縦のつながりだったものを情報を介して横につなげていくというイメージです。
個の力が並ぶと強い力を発揮する。
まさに葉っぱビジネスのおばあちゃんたちです。
その気になった人たちのパワーが結集すると、相乗効果で町全体が発展するという結果がここにあります。
そうそう、おばあちゃんたちの心をつかむコツを伺ってみました。
それは「名前で呼ぶこと」。
確かに名前で呼ばれると一気に距離が近くなるし、親近感がわいてきますね。
「出口から売ることを考える」。
この言葉にも激しく共感。
みんなでお金を稼いで豊かになろう!!
と、言うのは誰だってできます。
本当にそうなるためにはどうすればいいのか。
まず、「出口=結果」をイメージして方法を考え順番を決めて実行していくということは、前述した「結果を出すためには小さな実績の積み重ねが必要」という言葉につながります。
おばあちゃんたちを名前で呼ぶことは、お金を稼ぐこととは全く次元が違うようでも、出口に至る入り口としてやる気になってもらうためにも欠かせないことなんですね。
横石さんのお話を伺ったり著書を読んだりしていると気づくのが、その言葉の優しさとユニークさです。
たとえば「後期高齢者」は「好期高齢者」、「労働」は「老働」、「キーボード」は「気―ボード」、「みかん」は「美感」など、ユニークな造語がたくさん出てきます。
ここでもなるほど~~!!です。
言葉には言霊が宿ると言います。
ネガティブなイメージの言葉より、使って心地よくなる言葉や文字に置き換えることでとたんにやる気が出るのが不思議。
モノではなくコトを売るとよく言われていますが、コトとはキャロルキングじゃないけど人と人とが織りなすタペストリーで、それをいかに商品に昇華できるかってむつかしいけど考える価値大ありです。
葉っぱビジネスを通じて上勝町のおばあちゃんたちが得たものは
「誰かに必要とされる喜び」
「美しいものを扱っているという自負」
「自分で決めることができる経済力」
これは大げさではなく、人が生きていくうえで一番大切なことですね。
映画にもなった上勝町の再生物語。
現在、過疎に悩んでいた上勝町は、自分の故郷に誇りを持つことができるようになり、かつては出ていく一方だった子や孫が戻ってきたり上勝町で働くようになっているとのこと。
右側の山が「いろどり山」(ちゃんと写ってませんが^^;)
釣り橋は「いろどり橋」
もっと沢山の人たちに上勝町へ来て楽しんでもらえるよう、 7月24日には、「いろどり山」がオープンするとのこと。
そのほかにもアイデアが次々飛び出し、それを実行に移すために取り組んでいる横石さんは、もう、脳が普通の人よりかなり覚醒しているとしか思えない。
聞くと「睡眠時間は3~4時間。仕事が楽しくて仕方ないから短時間でも深い睡眠なので平気」とのこと。
うわっ!私なんて10時間くらい寝るときあるけど。。覚醒してないな。
「生涯現役社会のつくり方」
横石知二著 ソフトバンク新書
横石さんの著書「生涯現役社会のつくり方」には、今の日本が抱えている高齢者問題への提案やアイデアがいっぱいでこちらもおススメの一冊。
産業が低迷し、過疎が深刻化し、誇りをもってできる仕事もない八方ふさがりだった上勝町が、今のようにイキイキと働く喜びにあふれた故郷になったということは、日本全国の同じように悩む地域にとって再生のモデルケースでもあります。
働くって、仕事があるって、そして誰かに必要とされるって、ホントに大事ですね。
実感。
インタビューを終えて
お会いした直後は結構緊張していたのですが、横石さんのお話にググっと引き込まれ、私もいろいろ聞きたいことがあふれてきて、気づいたら2時間。
間近で空気を感じながら私の筆力では書ききれない何かを得ることができたと感じています。
正直言って、もっと花の仕事の話をしたかった。
葉っぱビジネスと花の流通は共通点あるし、違ったところは学びになるし。
いやいや、欲張ってはいけません。
また、機会を改めてお会いしたいです^^
横石さん、お忙しい中本当にありがとうございました!
そして、セッティングしてくれた大久保さんと野菜ソムリエ仲間の三好さん、近藤さん、ありがとうございました!
株式会社いろどり
代表取締役社長 横石知二
〒771-4501
徳島県勝浦郡上勝町大字福原字平間71-5
URL http://www.irodori.co.jp/
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