2020/11/05
花屋にとって実店舗販売とネット販売の両立は可能?
ネットショップによる販売形態の多様化
2000年ごろからインターネットが一般にも認知され始めたような記憶が。
2010年を過ぎるころにはネット利用は普通になり、HPはもはや名刺代わりでないほうがおかしいくらいになったし、そのHPでネット通販をする店も当然増えてきました。
花屋さんも実店舗を持ちながらHP内で通販をしたり、楽天やyahooなど大型ショッピングモールに出店して販売したりする店が。
実店舗とHP通販、実店舗とショッピングモール通販、実店舗のみ、ネット通販のみ、などなど店舗の形態も多様化しているこのごろですが、実際どのような販売方法が成功しているのでしょうか。
やらなければいけない3つのこと
実店舗とネットショップはまったく別物として考えると売り上げアップの戦力として機能します。
しかしそれは裏を返せば「全く別の店を2店舗もつ」こと。
ちょっと考えてみるととってもいい話に聞こえますが、実際はかなりハードルが高いやり方です。
そこで、もしあなたが実店舗とネット通販を併行してやりたいと思っている場合、必ずやるべき3つのことをお教えします。
①ターゲットを別々にする
②運営担当を別々にする
③両方の運営計画をたてる
この3つのことができれば、両立は可能です。
①ターゲットを別々にする~誰に売るかが分かれ道
まず前提として、その店が誰に何を売りたいのかがはっきりしていることが大切。
誰に何を売りたいかがしっかりと定まっている店なら、実店舗だけで販売しよう、とか、実店舗とネット販売を併用しよう、とか、販売方法を決めた上で戦略を立てて実践すればそれは成功すると思います。
たとえば、地域の中で接客を中心に顔の見える販売をしていこうとしたら、それは実店舗に力を入れるべきでしょう。
一方、できるだけ広く集客をしたいのなら実店舗では限界があるので、その場合はネット販売に力を入れるべき。
というように、販売形態を決める前には必ず自分がどのような店を目指しているかということを今一度考えることが大切です。
実店舗の特徴
実店舗は読んで字のごとくリアルショップ。
実際に店頭に立って来店されたお客さまとの対面販売が中心です。
顔を合わせて直接会話をするのですからお店の魅力や特色を伝えやすいし、お客さまもお店のセンスや人が気に入ってファンになりやすい。店と客との間がとても密になりやすいってことは長所のひとつ。
やはり、実際に花を見て選べて会話ができるというのはお客さまにとって楽しみですから。
短所としては、集客が立地条件に左右されるということ。
お客さまにとって便利なのか、そうでないかで大きく差が出ますから、できるだけ駅に近い場所に店を構えることが一般的。
とはいえ、駅から離れた場所で実店舗を構える花屋さんも少なくありません。そういった店は店頭販売というよりも、わざわざ店まで来てもらえるようなレッスンや、電話やメールで受注する実店舗型通販の配送ギフト中心で運営していますね。
ネットショップの特徴
一方、ネットショップはというと、まずお客さまと顔を合わすことはありません。
やり取りはほとんどがメールでまれに電話やファックス。
店に来る(サイトに入ってくる)人は全国の誰か不特定多数の人達です。
そして、店にとどまって、しかも買ってくれるお客さまはその中のわずかな数。
接客が好きで、直接お客さまと話しながら花を販売したい方には不向きです。
集客のためには検索で上位に上がることが必須です。
検索の上位に上がると集客数がダントツに増えるので販売数も増える割合が多くなり、かなりの繁盛店になることも。
場所は利便性がなくてもまったく問題ないので、駅から遠くのマンションの一室であっても成り立ちます。
*実店舗は接客販売
*ネットショップは配送中心
②運営担当を別々にする~まったく違うアプローチ
上記のように、実店舗での販売方法とネットショップでの販売方法はまったくといっていいほど違います。別物です。
しかし、実際には同じ「店」としてとらえている花屋さんは結構多いのでは。
その証拠に、実店舗を運営している人が同時にネットショップの運営にも携わっていることって多いのです。
もちろん、運営方法をきっちり分けてやっているなら成果は出ていると思います。
しかし、実店舗のサブ店舗、のような位置づけでネットショップを運営しているとしたら、それはちょっと残念としかいえません。
実店舗の集客は店のリアル感の演出が大切です。通る人達の目を惹くディスプレイや商品構成によって新規のお客さまを増やしていきます。
なので、商品の説明をわかりやすく書いたり親しみのあるpopをディスプレイに添えたりと、その場所に来たくなる空気感づくりに力を注ぎたい。
一方、ネットショップは販売ページをキレイにわかりやすく作ることは当たり前なのですが、それ以上に検索上位にサイトを上げることが不可欠です。
もちろんサイト内の商品画像は美しいほうがいいし、回遊しやすい構成になっていることだって必要ですが、集客となるとやはり検索対策が必要なのです。
しかも、直接の接客がない代わりにメールでの受注確認、配送確認などこまめな応対が必須です。
ネットショップはもし来店した人が商品を気に入らなかったり、買いにくさを感じれば、実店舗よりも短時間で別の店舗に行ってしまわれるリスクもありますから、メールでの応対やサイト作りはある意味実店舗よりも気を使うかもしれません。
もし、あなたが実店舗をやっていて閑散期に少しでも売り上げの足しになればと思ってサブ店舗的にネットショップを運営するのでしたらお勧めはしません。
先ほど述べたとおり、実店舗とネットショップとではアプローチの仕方が違いすぎるので一人で両方こなすことはおそらく無理。
できたとしてもたぶんどちらかが手薄になってしまうと思います。
なぜなら、花屋の仕事は基本的に忙しい。
仕入れ、水揚げ、品出し、商品づくり、接客、販売、配送、配達などなどやることがたくさんあります。
実店舗だけで充分忙しいのにその上まったく別の頭を使うネットショップ運営をするとしたら一人ではたぶん無理。
できても売り上げにはつながらない開店休業状態になる恐れが。
両方どちらもしっかりと売り上げを上げていくとしたら、少なくとも二人で別々に運営していくことをオススメします。
③両方の運営計画を立てる~方向性を共有する
実店舗とネット通販を両立させるには上記2つの条件が必要ですが、さらに一番大切なことが方向性の共有です。
一つの店で別々の担当者が別々の運営方法をするのですから、しっかりと運営計画を立ててお互いにイメージのずれがないようにしなくてはどちらかがメインになってどちらかが付け足しのようなことになりかねません。
どちらも運営することは、どちらも強くすることが前提ですよね。
実店舗の売り上げのサブ的な存在でネット通販を考えていたら、どちらも中途半端な取り組みで終わってしまいます。
そうならないため、実店舗の運営計画、ネット通販の運営計画、両方をしっかりたててお互いに共有して販促につなげていきたい。
花屋ですから大きな年間イベントは共通しています。
しかし、ネットで集客する場合と店頭販売で集客する場合とはアプローチの仕方が別物です。
仕掛けるタイミングも違います。
また、ネット通販でしか仕掛けられないイベント、または店頭でしか仕掛けられないイベントもあります。
この場合、いつ、どのように何を仕掛けるのかがお互いにわかっていればその期間にフォローすることだって可能になります。
要するに、別々の2つのことをする場合、その効果を最大に上げるためには計画が必要で、お互いにそれを共有して取り組めば相乗効果で利益を上げることができる。
反対に、無計画でそれぞれができることをできる範囲でやっているとしたら、おそらく目先の仕事に左右されてだんだんどちらかがおろそかになり、結局はどちらもあまり機能しないままで終わってしまう。
結局一番単純に両立できる方法は、それぞれに運営責任者を設けるということですね。
まとめ
*実店舗運営とネット通販運営は全く別物
*実店舗のサブ的存在としてネット通販をとらえるとロスが多くなる
*両立させて成功するためには運営計画の共有が必須
*一番単純に両立させるには、運営者をそれぞれにつける
「フラワービジネス研究会」主宰
充実花屋実践アドバイザー 相嶋久美子
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