2016/10/290 Shares

売れる花屋は知っている切花を長持ちさせる水揚げ方法~花の吸水のメカニズム~

花屋にとって大切な商品である切花。

色や品種や雰囲気も大切ですが、なんといっても鮮度保持がお店の評判のポイントですね。

売れる花屋ならみんな知っている、花の新鮮さを保つために欠かせない切花の吸水のしくみを理解すれば、お客様へのアドバイスにも説得力が。

 20160909img01

しくみを理解すれば水揚げはカンタン!

市場から仕入れてきた花は長時間水につけられていない状態です。

今は、水につけられた状態で出荷されるものや、乾かないようにゼリーに茎をくるんで出荷されているものもありますが、一般的には切られたものが箱に入った常態で仕入れすることになります。

なので、店に持ち帰ったら直ちに行う作業が水揚げです。

この水揚げ作業、ただなんとなくカットして水につけていませんか?

もちろんそれでも花は水を吸ってくれますが、原理を知ってしっかり水揚げするのと知らないままで水揚げするのとでは、やはり花のもちが違ってくることも確かです。

基本的なしくみ、知っておくと便利ですよ。

%e3%81%82%ef%bd%9e%e3%82%88%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%9f%e5%a5%b3%e6%80%a7%e9%a1%94%ef%bc%92

 

「今までなんとなく水揚げしてたけど花がどうやって水を吸い上げるのかを知ってたほうがいいわよね♪」

吸水のしくみ

切花の場合、切られているため根から栄養を吸収することができません。

ですから鮮度保持は茎を通しての吸水によるものとなります。

茎の中には、維管束(いかんそく)と呼ばれるものがあり、導管と師管がその名のとおり束になっています。

*導管・・水が通る
*師管・・養分が通る

切花の場合、おもに導管から水を吸い上げて鮮度を保っているのです。

%e3%81%aa%e3%82%8b%e3%81%bb%e3%81%a9%ef%bd%9e%e7%94%b7%e6%80%a7%e9%a1%94

 

「なるほど~~。導管は知ってたけど師管ってしらなかったな。切花の場合は導管が大切だってことだね!」

 

ほとんどの花は双子葉類

さきほど「維管束」という言葉がありました。

導管と師管が束ねられている茎の部分のことでしたね。

この導管からいかにしっかりと水を花や葉っぱに届けることができるかが、仕入れた切花の寿命を左右するといっても過言ではありません。

大きく分けて、導管には2種類の型があります。

*単子葉類・・茎の中にまんべんなく導管がある
*双子葉類・・茎の外側に集中している

これ、大事です。

あ、単子葉類とか双子葉類とかってなんだかわかりづらいですよね。

*単子葉類・・百合・ドラセナ・パイナップル・ランなど葉が細長く葉脈が平行
*双子葉類・・バラ・キク・カーネーション・ケイトウなど葉脈が網目状

ざっくりと。

%e5%a5%b3%e6%80%a7%e3%81%aa%e3%82%8b%e3%81%bb%e3%81%a9%ef%bd%9e%e9%a1%94

 

「ほとんどの店の花は双子葉類ってことなのね!百合やランが単子葉類なんだなって覚えておけばいいってことね」

水揚げのしくみ

花は根がついているときは根圧によって水を上に運び全体に水分をいきわたらせています。

しかし、切花の場合は根がないので水を吸い上げる力は当然弱くなります。

しかも空気に触れている時間が長ければ長いほど水が上がりづらくなるので、仕入れた花を店に持ち帰ったらただちに水揚げをして、できるだけ早く水をいきわたらせる必要があるのです。

ほとんどの切花は水切りまたはから切りで大丈夫なのですが、中には吸水力を補助するため特別な方法で水揚げすることも

要するにその切花にあった方法で極力早く水を吸い上げられる状態にするためにも、吸水のしくみを知っておくことは大切なんですね。

また、吸い上げる力が弱まっているときは茎を長めにカットすれば吸い上げの距離が短くなるのでさらに水揚げがよくなります。

さらにしっかり上がるまでは深い水につけておけば水圧によって吸い上げる力が高まります。

このようなことは、お客さまにもご家庭の手入れ方法としてアドバイスすることもできますね。

*仕入れたらすぐに水揚げをする
*水揚げは深めの水で水圧をかけて

%e3%81%82%ef%bd%9e%e3%82%88%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%9f%e7%94%b7%e6%80%a7%e9%a1%94

「よくお客さまに水替えのたびに茎を短くしていくとずっと長く楽しめますよってアドバイスしてるけど、そういうことだったんだね!」

 

おまけ:バラのトゲ取り器は扱い方に気をつけよう

双子葉類の代表といえば、バラ。

時期によっては一度に何百本も仕入れることも。

大きな店だとそれこそ何千本だったり。

そしてこのバラにつきものが痛いトゲ。

少しだけなら手でプチプチと取りながら作業できるのですが、本数が多いとそういうわけにもいきません。

よく、鉄製のバラのトゲ取り器(下の写真)を使っている店を見かけますが、使い方を誤ると水揚げどころかバラを弱める原因になるので要注意です。

rosetogetoriki02

 

 

 

amazon「坂源バラのトゲ取り器」

ところで、バラは双子葉類でしたよね。

双子葉類は導管が茎の表皮の下にぐるっと存在しています。

ということは、表皮を傷つけてしまうと導管も傷つけられてうまく水を吸い上げることができなくなるということになります。

トゲ取り器を使うときには表皮が傷つかないように、力を入れすぎないでくださいね。

rosetogetoriki01

オリジナルでバラにやさしいトゲ取り器を開発している店もあります。

ローズガーデン徳島オリジナルトゲ取り器

 

 

rosetogetoriki03

こちらはBQ用のシリコン手袋ですが、厚手のものを使えば十分バラのトゲ取りに使えます。

シリコン製のはさんで使うトゲ取り器もありますが、こっちのほうが力加減を調節しやすいのでオススメです。

amazon「シリコン手袋」

まとめ

*切花は導管から圧力によって水を吸い上げる
*ほとんどの切花は双子葉類なので茎を傷つけないよう注意する
*仕入れたらすぐに水揚げ作業をする

吸水のしくみを知っておくと、お客様に対して今まで一様に「おうちに帰ったら水切りしてくださいね~」って言ってたのが、「日にちがたつにつれて短くしていったほうがお花が持ちますよ~」など、より具体的にアドバイスできるようになるかもですね。

何かわかりづらいこととかありましたら、お気軽に問い合わせまたはコメントしてくださいね。

↓よろしければ応援よろしくお願いします♪

 

↓いつも応援ありがとうございます♪
植物パワーが流れ込む~


人気ブログランキング