ディスプレイからライフスタイルの花へ~30年の変化~
パルテールを始めたころは1990年に入ったばかり、バブルのしっぽで花の仕事が華やかだったころでした。
高橋永順さんとか竹沢紀久子さんとか、新しい感覚のフラワーアーチストが活躍してて、ふんだんに花を使った表現にうっとりしていたものでした。
個人的には栗崎昇さんや川瀬敏郎さんの花が大好きで、やっぱり和がベースの感性は素敵だな~~なんて。
時代の勢いといいますか、いい意味でも悪い意味でもお金が回ってたので目に華やかな花の需要が一気に伸びた感じでした。
その頃からいわゆるお洒落な花屋が多くなり、洋花の種類も多くなり、草花系のナチュラルな花も多くなり、自宅に花を飾る人も多くなった。
それまで花というと仏様へのお供え花か、いけ花の花材か、母の日のカーネーションって感じだったのが、意識の変化というか需要の変化というか「ディスプレイの花」ともいえるジャンルができた。
教室の移り変わり
2000年ごろまでは、花の需要の少しずつの下り坂は感じていたけど、それでも花の教室などではふんだんに花を使ってレッスンしていたと思います。
今はどうなんだろう。
実店舗時代は「プチレッスン」という花の教室をやっていましたが、プチなので部屋に飾ってちょうどいいサイズの作品作りでした。
レッスン料も安かったと思う。
店をやってたから可能でした。
先日、友人が「家でちょっと飾るためのレッスンてないのよね~」と。
つまり、たくさんの花を飾りたいわけじゃなく、ちょっとした手持ちの器にさりげなくお花を飾りたい。
とはいえ、ただすとんと入れただけじゃなく、こう、素敵にいけたいのである。
わざわざ教室に行って習うのもめんどうだし、というか、そんなさりげないいけ方を教えている教室って見かけないし、どちらかというと、持って帰ってどこに飾るねん^^;という教室しかないんだけど。。と。
たしかに。
ゴージャスからシンプルへ
1990年代の花ブーム時はさりげなくいけるというよりも、たくさんいける、ゴージャスにいける、というほうが好まれてましたが今はね。
今は、誰かに見せる花というより自分や家族が心地よく感じるための空間演出としての花がしっくりきます。
ただ、花の仕事をしている身にとっては「確かにそうだけど花をたくさん使わないとレッスンプロは教室運営たいへんだしな~」と思ったり。
でも、需要が変わってきてるんだから花の教室だってある程度は変化していくことが必要なのかもしれませんね。
1990年代に出版された花の本は、これでもかとふんだんに花をいけたものが多かった。
もしくは、国宝級の器にいけこんだ芸術的な花とか。
あ!忘れてはいけない人がいた。
中川幸雄。
いけばな界の鬼才といわれ、アバンギャルドな作品で勅使川原蒼風とともにフランスでもその作風が認められていた人。
中川先生の全盛期、当時私が師事していた千野共美先生にお供して様々な展覧会やイベントの手伝いをさせてもらったのは今では大きな財産になっています。
と、まあ、そういうたいそうな方々が作品として花をいけていたんです。
まだ生活の花という感じではなかったということですね。
今、本屋に並んでいるのはほとんどがさりげなく花を楽しむ本。
花屋で買った花だけでなく、野山で摘んだ花だったり拾った落ち葉だったり。
ライフスタイルの一環としての立ち位置になってきてる。
それだけ生活になじんでるというわけですね。
というわけで、友達はうちのアトリエで即席フラワーレッスンをすることになりました。
手持ちの器を持ってきてもらってアトリエの花を1,2本選んでいけてみるという感じです。
器が変わっても花が変わっても応用できるちょっとしたコツを伝えたら、それからは自宅で自分でいけて楽しんでるとのこと。
暮らしの花ってそれでいいですもんね。
ナチュラル、シンプル、そして快適さ。
30年前とはずいぶん違ってきたもんだな~^^
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