たとえば、1.花の色あわせ、2.森林浴、3.ウェディングブーケ作り、4.雑貨、5.ハーブ、という上位5つだとしますと、イメージとなるキーワードとしてナチュラル、おしゃれ、女性らしさ、かわいらしさ、自然、などが浮かびます。
売れる花屋はやっている~お客さまのイメージが膨らむ店づくり~
お店に入るときのわくわく感っていいですよね。
花屋は生花の場合他業種に比べて商品の入れ替わりのスピードが速く、仕入れて店頭に並べるだけで季節感も演出できるという利点があります。
しかし、それはどこの花屋さんも同じ条件。
そこで、今回は入りやすい店なのかどうか、わくわくできる店なのかどうか、おもわず買いたいと思う店かどうか、そんなイメージの膨らむ店づくりのヒントをご紹介します。
どんな店にしたいのかをはっきりさせよう
花屋に限らず素敵な店づくりをしている店舗はたくさんあります。
雑貨屋さん、ブティック、メガネ屋さん、スウィーツ屋さんなどなどそれぞれ持ち味を生かした魅力的な店、数えてみると結構思いつきませんか?
そんな店に共通しているのがぱっと見てわかりやすい表現です。
ナチュラルテイストなのか、和風なのか、ポップなのか、エレガントなのか、ひとめみればその店の傾向がわかるようなディスプレイだったり雰囲気づくりだったり。
「ぱっと見て好みに合っててピンとくる店は入りたいっておもうわね!」
花屋もいろいろ
一言で花屋といってもそのタイプはさまざまです。
ご自宅用の花が中心の店、会社関係でのオーダーが多い店、個人のギフト専門の店、いけばな教室専門の花材をそろえている店、葬儀や仏花を請け負う店、店頭ディスプレイをするいけこみ中心の店、ウェディングの花をプロデュースする店、切花よりもハーブや草花の鉢物が主体の店、などなど、などなど。
そして、一番多いタイプが上記の複合型の店。
たしかに花屋さんは上記のすべてを1店舗でやれる技術を持っています。
自宅用の花も売ってるし、ギフトのオーダーも受けるし、ウェディングの相談にものるし、頼まれればお店のディスプレイだって請け負うし、教室だってやってるし、鉢物だって売ってるし、仏花も販売しているし、、という店は少なくありません。
いろいろできることはいいことなのですがそれだけにお客さまから見たとき「ここじゃなきゃ」の基準があいまいになってしまうことも。
そうなってしまうと「近いから」「安いから」「なじみだから」という理由に陥りがちなのも正直いって、ある。
それが悪いわけではありませんが、それだけでは待ってるだけの店になり仕入れ調整やイベント企画や顧客サービスなどもしづらくなって固定客の獲得が難しいのです。
「普段は近くの店で買ってるけど大事なギフトは別の店にわざわざ頼んじゃうことがあるな~」
わかりやすいコンセプトを持とう
コンセプト=概念ですが、概念というと硬いけどイメージというとわかりやすいでしょうか。
つまり、お客さまに「あ、あの店はあれが得意なんだよね!」ってぱっと思ってもらえる強いイメージです。
今は好みが多様化しているのでただのイメージではなく強いイメージが必要です。
強いイメージとは何かというと、際立った印象ですね。
普通にナチュラル感のある店というよりもたとえば山小屋風にディスプレイされているほうが「おっ、この店はなんか違う」って思われやすいですし、スタイリッシュな花が得意ならば直線的な什器を使うと「なんだかかっこいい」って印象づけやすいですし、和をモチーフにしたければドアではなく入り口は格子戸にすると「おいでやすっていってもらえそう」って思われやすいとか。
同じ花を扱っていても店から受けるイメージに応じてお客さまは自分にあっているのかどうかを瞬時に判断しますので、わかりやすいっていうのは来店していただくためのまず最初のハードルなんです。
とはいえそんな強いイメージもっていないし、どうしたらいいかわからないし、、というときにオススメなのが書き出し作戦。
自店のできることや好きなことをできるだけたくさん書き出します。
たとえば、花束づくり・アレンジの色あわせ・ブーケ・葬儀・ディスプレイ・いけこみ・ウェディング・リース・寄せ植え・レッスン・アート・個展・営業・育てること・配達・通販・作品集作り、接客、山登り、川くだり、避暑、夜の町、などなど、なんでも。
それからそれらすべてに順番を付けます。
得意順またはやりたい順に。
そして、そのベスト5を店の軸として組み立てるのです。
マインドマップのつくり方と似ていますが、全体に俯瞰するというよりも順位を付けるというのがミソ。
ちなみにマインドマップのつくり方はこちら↓
マインドマップで「やりたいこと」を芋づる式に洗い出そう!
今まで言葉で具体的に自店のイメージがつかめなかったとしても、ここまで具体的にキーワードが浮かぶとそのイメージに合った什器や備品やディスプレイのコンセプトカラーなどがわかってきます。
大事なことは、好きなことを強く表現できる店はお客さまにとってわかりやすく魅力的な店であるということです。
*非日常を味わえる店は魅力的
*自分の好みを思い切って押し出そう
什器や備品は一貫性をもたせよう
自分の好みがはっきりしてきたらそのイメージを強くするために便利なのが店内の什器や備品です。
たとえばすっきりとシンプルな感じを強く出した店舗イメージにしたいなと思ったら、黒やシルバー系のはっきりとしたコントラストでまとめるとか、素材は木よりもアクリルや鉄製のものを使っているとか。
備品も現代アート的な器や直線的なフォルムのものを中心にまとめたり。
これはあくまでもひとつのイメージですが、少しデフォルメ気味かなと思うくらいのほうがお客さまにとってその店のカラーがつかみやすい上に、絶対ここの店が好きと思うコアなファンもつきやすいです。
こちらはパリの花屋さんですが、みるからにスタイリッシュ感がムンムンしてますね。
http://ameblo.jp/room-gardening/entry-11970509969.html
什器はシンプルなのに、ほかの備品はガーリーだったり和風だったりするとせっかくの店のイメージが薄らいで結局ウリがよくわからない店になってしまうのがいちばん残念。
たしかに花が主役なのですが、その主役の魅力を存分に発揮させるのが店舗内の雰囲気づくりなのです。
あくまでイメージ的なものですが、シンプル、スタイリッシュというイメージの場合は黒など濃い色と直線的な形がポイントになります。
こちらは和菓子屋さんですが、いい感じなので取り上げてみました。
http://www.simplicity.co.jp/ja/projects/baishinka/
「店舗づくりで大事なことは非日常な空間にゃんです。花屋で売っている花の種類はほとんどの店で同じようなものを扱っているので什器や備品はかえって日常では使わないようなもののほうがいいんですにゃ」
*什器や備品で特徴づける
*お客さまはわかりやすい店に入りやすい
人まねのディスプレイはつまらない
そうはいっても際立たせるにはちょっと勇気がいるし、お客さまの間口を狭める気がするのでどちらかというとオーソドックスな店でいいと思ってる。。という方もいらっしゃいますね。
そちらのほうが多いかもしれません。
しかし、考えてみてください。
オーソドックス、無難、普通、の店へわざわざ行きたくなるのでしょうか?
今、花屋さんの現実は非常に厳しくてこれからもっと大量販売店と専門店とに二極化していくといわれています、というか、実際すでにそうなっています。
ほとんどの花屋さんは小規模経営の店舗です。
ということは大量販売というよりも専門店としての価値。
専門店ということは、花の目利き、水揚げ、手入れ、季節感、ギフト作成、ラッピング、いけこみなど技術的なことの信用度は当たり前という基準でお客さまが注文または来店して買ってくれるということです。
であれば、自店を選んでもらえるために必要なことって何だろう、、と考えるとぱっと見てわかりやすい店舗イメージは一歩といわず10歩抜きん出るためにも必要不可欠なところです。
ただ、際立たせればいいからってどこかの店をまねしたりアドバイスされたとおりにディスプレイをするだけでは店に息吹が感じられず、結局数ヵ月後にはどこにでも見かけるような花屋になっていくのは火を見るより明らか。
テクニックだけではイメージってキープできないのです。
「ディスプレイが苦手なので素敵な店のまねをしたくなっちゃうんだよね」
「まねが悪いわけじゃないけど、やっているうちに自分の感覚でできるようにならないとだんだんフツーな感じになっていくから注意が必要にゃ」
*技術だけでは横並び
*人まねのディスプレイは続かない
イメージが膨らむ店づくりとは
花を買いたい、誰かに花をあげたい、と思って花屋を探すとき、「あ、ここで買いたい♪」という店があったら、買う前からうきうきしてきませんか?
きっと今の気持ちにピッタリの花がある、絶対喜んでもらえるアレンジをつくってくれる、そんな気持ちにさせてくれる店で買いたいと思いませんか?
そんな店は花を並べているだけでなく店舗全体の雰囲気づくりが上手なんです。
何度も言いますが、花屋に花が並べてあるのは当たり前なのです。
その花屋に行きたいかどうか、買いたいかどうか、注文したいかどうか、お客さま自らの意思で買うというアクションを起こさせる店。
「近いから」でしょうか。
「安いから」でしょうか。
「なじみだから」でしょうか。
花を買うだけならスーパーやホームセンターの園芸コーナーでいいんです。
楽しんでいただきたい、わくわくしてもらいたい、また買いたい!と思っていただける店になるためにはその店が何を発信しているかどうかわかりやすく伝えることが大切なんですよね。
店側からの発信がなければ素敵な花屋を探している人がいてもキャッチできません。
だからこそ、まずは店舗のイメージづくり。
一度見直してみませんか。
まとめ
*技術は当然だとわかった上での店づくりが差別化につながる
*買う前からわくわくするような店は一言で言えばわかりやすさ
「自分がこうしたいと思っているイメージって言葉にするのがむつかしいのよね」
「そんなときは一人で悩まず客観的に見てもらったほうが近道ですにゃ」
何かわかりづらいこととかありましたら、お気軽に問い合わせまたはコメントしてくださいね。
「フラワービジネス研究会」
売れる花屋実践アドバイザー 相嶋 久美子