本紹介*「いけばな自在」千野共美
わたしが花の仕事を始めようと思ったきっかけのひとつが、千野先生の花に巡り合ったことです。
まだ店をやるかどうかなんて決めておらず、ただ、何かやりたいと思い続けていて、なんとなく花を習おうと最初はフラワーデザインの教室へ通いました。
そこでの技術的なことやデザイン的な勉強は役に立ったのですが、いまひとつこれじゃないという気持ちを持ち続けていました。
しばらくして、その時住んでいた国立の器屋さんで花を教えている人がいることを知り、迷わず入門。
入門というと大げさですが、花を習うことにしたのです。
それが千野先生。
習ってみると、それまで習っていたフラワーデザインとは全く違う。
型ではなく空間作りというとらえ方。
花も、生け花をベースにしているけど、お流儀のような順番があるのではなく、あくまで花、器、目線に重点を置いた暮らしの中の花を意識していました。
そのころはまだバブルの前でしたが、かなり景気が良くて様々なお金をかけたイベントが多かった。
千野先生の師匠の半田唄子さんの伴侶であるいけばな作家、中幸夫氏の作品展やガラス制作や書展の開催があるたびに、千野先生のお手伝いを兼ねて連れて行っていただいたのは今では宝物のような時間だったと思う。
その、千野先生が出版したのが「いけばな自在」。
少し前の出版なのですが、体調を崩していたり、コロナで自粛期間だったりと、会うことがあまりなかったため、先日久しぶりにお会いして本を拝見しました。
写真は本人自ら撮っています。
わたしと違って千野先生はかなり完ぺき主義なので、というか、眼力が鋭いというか、妥協をしないというか、とにかくそこは厳しいので、この写真1枚1枚撮るのも掲載分を決めるのも、さぞかし時間をかけていると思う。
わたしは作家の道ではなく商売の道を選んだけど、私の花の仕事に千野先生の審美眼やとらえ方、花の視点、もっともっといっぱいありますが、は、大きく影響を及ぼしてくれているんじゃないかなと。
ああ、、「くみこちゃん、何言ってんの」という声が聞こえてくる^^