2017/10/10
コールドチェーンが需要をあげる~夏のフラワーギフト流通のカギ~
先日開催されたフラワーサミット。
沢山の花卉業界の専門家の方々が集まって、現在の問題点、これからの目標や取り組み方について講演会や分科会も開かれとても勉強になりました。
興味のある「ロジスティック」「鉢物マーケット」「コールドチェーン」の3つに参加し、夏が終わったタイミングでなんなんですが「コールドチェーン」についてやっと頭がまとまってきたので記事に。
今回のコールドチェーンの取り組みという分科会では、花の品質管理認定機関、生産者、市場、輸入会社、種苗会社、加工会社、小売店などさまざまな立場の人が参加していて、それぞれの立場での温度管理とその仕組みについての内容でしたが、私は小売業なので、小売り段階に関係することが中心にお伝えしようと思います。
フラワーギフト流通のカギは温度管理
パルテールは現在実店舗販売をしていないのでほぼ100%が配送によるお届けです。
実店舗時代から夏はほとんどあきらめの心境で、「花は夏は売れないんだよね~」って思っていたし思い込んでいました。
だって、気温は高いし夏休みは出かける方が多いので家の中は閉め切ってしまうことが多いだろうし、自分だってもし、夏に誰かの家へ遊びに行くとしたらミニブーケよりもアイスクリームを持っていくだろうなって思っていたし。
「夏は花は無理」ってことで実店舗時代の8月は1ヶ月まるまる休みにしたり、ガラス作家の個展スペースに店を使ったり、暑いときは花は無理して売りませんっていうスタイルだった時期もありました。
とはいえ、8月のお盆の時期にはやはり需要はあるのです。
それに、夏だって花を贈りたいというお客さまも。
夏の配送はあきらめた方が賢明?
実際、夏以外の季節なら注文がいっぱいあると「ありがたいな~」という気持ちに素直になれるのですが、気温が30度前後いや、それ以上になる時期は正直言って「受注なくてもいいかも。。」と内心思ってしまうことも。
体験上、生花の状態が気温に左右されることは知っています。
だからこそ、夏の暑さによって配送途中の温度が上がってしまい、お届け先についたときには花が弱ってしまっているかもしれないという恐れが言葉通り恐怖心としてぬぐいきれないところがある。
もしかしたらクレームが来るかも。。もしかしたら花がしおれてしまっているかも。。もしかしたら飾ってもすぐにだめになってしまうかも。。などなど、心痛甚だしい。
こんなに悩むんだったらいっそ夏は受注制限しちゃって、気温がある程度安定してから受けようか。。と考えたり。
リスクが高い受注をとるか、はじめから夏の受注はとらずに安全路線で行くか。
毎年毎年飽きもせず暑くなる季節が来るたび葛藤するわけです。
夏の需要増加は売り上げの底上げに
夏の需要から逃げることは果たしてどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリットとしては、やはり心労がなくなることですね。
方法がないままに出荷してしまうことで感じる心配や杞憂やストレスがなくなることは、結構大きいです。
デメリットとしては、その時期の需要だけではなく涼しくなっても需要が減少すること。
特に楽天市場などモールに出店していると、カンタンに他の店を見ることができるので受注できない場合は他の店舗で注文することになります。
リピーターさんの場合は他の店で買い物をしない確率が高いのですが、新規の方は注文できなければ他を探せばいいのですから当然ですね。
実店舗でもネットショップでも、新規の取り込みってものすごく重要です。
ゼロからは何も生まれませんが、新規で1だともしかしたら10になるチャンスがあるのですから。
そういったチャンスロスを考えると、暑いからといって店側から受注を減らすというのは「おまえやる気あんのか?」と言われても仕方がない。
しかも、夏場の花の需要は他の時期に比べて普通に落ち込みます。
お盆の需要ぐらいしかないし、やはり暑いからお客さまも花を選ばないことが多いので。
でも、その、売り上げが落ち込む時期にしっかりと注文をとっていくことができたら逆に底上げになりますよね。
夏は仕方がないと思っていても、固定費や人件費など出ていく出費は必ずあるので、普段の季節と同じくらいしっかり受注できれば「半年商売」から脱出できるチャンスでもあります。
夏の需要を安心して増やすために
毎年来る暑い時期。
毎年思うあきらめるのかあきらめないのか。
毎年続くちゃんと届いたかどうかの心配。
考えてみたらこれらの悩みはたった一つの問題解決によりクリアするんです。
そう、それが温度管理。
以前このブログでも書きましたが、同業者の中には夏はクールで配送しているとうたっている店が少なからずあります。
私は以前からクールなんてありえない派だったので、いまだかつてフラワーギフトをクールで送ったことはありません。
だって冷やしすぎても花にはよくないから。
たとえばカーネーションやバラは10度以下の比較的低い温度で輸送ができても、アンスリウムやデンファレなど熱帯地域の花は15度以下では花が落ちたり黒ずんだりしてしまう。
生産から市場への出荷ルートだと単体での温度管理で輸送が可能ですが、小売店のフラワーギフトはバラもカーネーションもデンファレもアンスリウムも、それこそいろんな地域のいろんな花をミックスしてアレンジしているのでそれぞれの温度管理ははっきり言って無理。
それにヤマト運輸のクール便は5度前後。はっきり言って花はクールでは無理です。
8月の需要を引っ張るお盆時期にもっと受注できれば売り上げが上がると思い、ヤマト運輸本社に「1台花専用の温度管理車を用意してほしい」と打診したところあっけなく「無理」という返答が。
まあ、よしんば温度管理車を用意してもらっても保管場所が常温だったら意味ないし。
現状は流通に期待をするのはまだまだ早いのですが、そのうちはやりコールドチェーンが確立して途切れることなく温度管理ができるよう切に願います。
小売りが今できること
というわけで、今現在の時点では、個々で何か方法を見つけて善処するしかないというのが正直なところです。
温度管理については分科会のリマインドの席で、老舗の生花輸入会社「株式会社クラッシックジャパン」の西尾義彦社長に教えて頂きました。
「いろんな花をミックスしてフラワーギフトを発送する場合の温度管理はどうすればいいんでしょうか?」
「ミックスの場合は20度ぐらいに保てればいいと思う。保冷剤などを使って梱包するといい。」
やっぱりそうだったんだ!
というのは、私も保冷剤を使って梱包すれば箱の中の空気が冷えるのである程度の時間は保てると思っていたからです。
どのくらいの量を入れればいいかはまだ試験中ですが、来年の夏からは対応できるようにしていくつもり。
色々試して結果がわかったらまたお知らせしますね。
もうひとつ、夏の需要を伸ばすために大切なことはやはり品質管理。
出荷されてから日にちが短い切り花ほど生命力が強いので、少々暑くても耐えることができるのです。
というわけで、私たちフラワーギフトを扱う小売業者がとりあえず今できることは二つ。
*保冷剤を入れて梱包する
*鮮度のいい切り花を出荷する
まとめ
*夏の需要は温度管理次第で伸ばせる
*夏の売り上げを伸ばすと全体の底上げになる
*現在できることをやっていこう
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