2017/02/20
花屋業界の現状とこれから~リアルを知ると対応もできる~
花の仕事を続けていくために
花屋さん同士で顔を合わすと「売れない」「お客が来ない」「ひま~」なんていう会話になってしまうこと、結構多いのでは。
データを見ると、こういった会話は確かに現実だなとわかります。
そんな花屋業界を取り巻く現状をちょっとのぞいてみましょう。
花の総売り上げの変化
1980年代バブル期には「花ブーム」というのがありました。
次々と新しい品種が現れ市場も活気があったしおしゃれな花屋さんが次々開店して、雑誌の特集は必ず花の企画がページを割いていて、テレビ番組もふんだんに生花をつかったスタジオセットが多かったし、ショーやパーティ、レセプションなどにはこれでもかというくらい花の装飾であふれていた時代です。
あれから30年以上たった今、花業界の現状はかなりの変化が。
上のグラフは年間花卉取扱高の変化です。
H24(2012)年、H25(2013)年、H26(2014)年の3年間ですが、年々約3%強、約70億円ずつの減少です。
取扱高が減少しているということは需要がそれだけ少なくなっているということですね。
こちらのグラフは1972年から2006年までの店舗数と総売上高の推移です。
1986年12月から1991年5月までのバブル期間は花と鉢の売り上げがぐぐっと伸びています。
バブルのときがピークではありますが、その前の10年間の成長も見逃せません。
高度成長期が終わって安定した豊かな生活が定着してきたためか、それまで花というと仏様へお供えするためのものかいけばななどお稽古でたしなむものという感覚だったのが、誰かにプレゼントするギフトとしての需要の高まりや家庭で花を飾ることが一般化して需要の裾野が広がってきたのが大きな理由です。
ところが、1992年のバブル期終了を境に現在まで今度は下り坂一辺倒。
2006年までの14年間で総売上高は約48%減少、金額ですと約8000億円減少となっています。
上のグラフでわかるようにH26年の総売上高は2650億円弱。
もちろんこれは小売額ではないので小売店の総売上高と比べると低いのは当たり前ですが、小売総売り上げを予想して見込んでみてもおそらく6000億円くらいかと。
ということは依然として下がっているということになります。
花屋さんの変化
全国の花屋の数は約24000件といわれています。
上のグラフで2006年は20000件強だったので売上高に比べるとほとんど変化がないといえます。
1972年が13000件ほどなので34年間で10000件ほど約84%増えたことになりますが、売上高はピークの1992年は270%伸びているのですから、いかにその期間は花の需要が高まっていたかが推察できますね。
しかし、売上高は1992年以降2006年までの14年間で48%減少しているわけですから約半減です。
ところが店舗数の推移はほとんど変化がなく、20000件~24000件の間で安定しています。
実はこの数字、安定していると読み取るのではなく開店と退店の数がほとんど同じくらいということでもたらされているのが現状で、大体一年間に20%の花屋が退店、廃業していて、同じ数のお店がオープンしているということに。
(実際は既存店の閉店数も多いのでもっと振れ幅があると思います)
上のグラフからわかるように、1990年代と比べて1店舗における年間売上高はどんどん減少しているので、新規開店しても軌道に乗るまで資金が続かずやむなく退店してしまうというケースが多い。
起業のなかでも花屋は極端な話、仕入れして花さえ並べれば見栄えができてしまうので、ほかの業種よりも設備投資などの開店資金が少なくてすむという利点があるにもかかわらず、新規開店数は現在減っています。
確かに10年ほど前まではそれでもちょこちょこと「あ、こんなところに花屋ができてる♪」なんて新しいお店を見つけることがあったのですが、最近はなくなった店に気づくことはあっても新しい店に気づくことがほとんどないです。
資金が少なくて起業できるとはいえまとまったお金は必要ですし、昔のように店を出せば売れるということもないし、花は好きだけど仕事がきついという現実を知った人も増えてきたのかもしれません。
2000年くらいまでは小学生が将来なりたい職業といえば「お花屋さん♪」という回答が必ず上位に入っていたのにいつごろからかTOP10からいなくなってしまいましたね。
なんだか暗い数字と内容ばかりで恐縮ですがもうひとつさらに付け加えると、実店舗だから大変だけどネットショップだったら経費があまりかからないから増えてるんじゃないか、、と思いたいところですが、、実は。。
たとえば楽天市場のフラワージャンルは約400店舗の出店がありますが、新規で出店した店舗の約70%が2年以内に退店しています。
利益が出ていればおそらく退店することはないと思いますので、実店舗の場合もネットショップの場合もどちらも厳しい現実があるということです。
・・・と、ずっと花屋の暗い現実ばかり述べてきましたが、そうはいってもしっかりと利益を出している店も少なくありません。
どんな業種でも10年以上続けることができたらずっと続けていくことができるスキルを身につけていると言われてますね。
もちろんブラッシュアップは欠かせませんが。
さて、このデータ、あなたならどのように受け止めますか?
まとめ
*花屋業界の現実は厳しい
*1992年をピークに売上高が半減している
*店舗数は30年間で20000件強とあまり変化していない
*1年間の開店率と閉店率はほぼ同じ
*とはいえしっかりと利益を伸ばしている店もある