考察1*ユニクロフラワーが花のマーケットを変える
ユニクロフラワーについてどうとらえるかで、これからのわたしたち花屋の方針が定まるかもしれません。
なにそれ?って感じですかね。
理由を説明する前に、なぜわたしがユニクロフラワーを推しているかということをお話しします。
これまでも異業種大型店に花屋が出店したり、委託販売をしたり、大型店自らが仕入れて花を販売するということは行われていました。
たとえば食材の大型スーパーや、郊外型ホームセンター、ブックオフなんかもおいてますよね。
これまでの大型店での花販売と何が違うのか。
ひとことでいえば、ポテンシャルです。
伸びしろというか、ノウハウというか、マーケティング力というか。
もちろん私もそういった大型店での花販売のケースはずっと見てきましたし、いろんな店の栄枯盛衰を目の当たりにもしてきました。
長年そういった推移をみてきましたが、テンションが上がることはなかった。
皆無。
まあ、そうだろうな。。という程度。
しかし、有楽町のユニクロフラワーを初めてみたとき、はっきり言ってテンションがめちゃくちゃ上がったのです。
いろいろ考えてみたところ、無意識に花の流通分母が今までとはけた違いに大きくなる予感を強く持ったからだと。
今までの異業種大型店で花を売っていたのとは全く違うマーケティングで、しかもそれがニーズにばっちりあっている。
そこはさすが世界企業だなと頭が下がる思いになりました。
いつも引き合いに出す市場規模マップを見てみてください。
ファッションの市場はパッと目に入りますが、花卉業界は?
数字的な規模では約10分の1、1割くらいの流通量ということになっています。
花卉小売りで1兆円強となっていますが、この中にはユニクロをはじめホームセンター、大型スーパー、大型フランチャイズ店、有名老舗などなども入っていて、個人店舗の売り上げの割合は半分以下かもしれません。(ごめんなさい。そこのデーターはわからないので肌感覚です)
従来の大型店、ホームセンターやスーパーマーケットなどで花の販売が定着して30年くらいになりますよね。
確かに買い回り品としてのニーズに合っていて、ついで買いのお客さんが増えたかもしれません。
しかし、数字はずっと下がりっぱなしなのはどうして?
要するに、ついで買いのお客さんはそれまで花屋で買っていた人たちだったということです。
ギフトだってそうです。
ネットショップが台頭しているように見えますが、それはそれまで花屋で買っていた人がネットで探すようになったから。
つまり、花き業界の分母に変化はなかったのです。
それどころか、若い人の花離れ、定番の仏花だって年々需要が落ちています。
これまで花の消費のメインだった中高年層だって、だんだん高齢者といわれる年齢になっていくと、水替えなど手間のかかる切り花から自然と離れてしまうのは当たり前かもしれません。
花き業界が何の努力もしていないというのではなく、むしろ花の流通を増やすためにCMを出したりラヂオ番組を作ったり、芸能人を起用してポスターを作ったり、店舗向けのデモンストレーションをしたり、それこそ分母を広げようと必死でやっています。
ただ、それでも、分母は大きくなっていないんです。
結果が出ないことに対してどうとらえるか、が問題で、私が花屋を始めた30年以上前から花き業界の販促は全く同じメディア戦略だし、それに対しての改善は、すみませんがよくわかりません。
だからわたしは30数年前から、花き業界のイベントに寄せる販売促進にはかなり後ろ向きでした、、というか、テンションが全く上がらなかったし今もそうです。
そんな30年がすぎて今、ユニクロフラワーです。
この、業界に所属していない販売形態、花き業界ではなく、アパレル業界のお客さんにターゲットを合わせたマーケティング、最高の立地条件、社員のモチベーションの高さ、などなど、これはやはり大企業ならではの勢い、そして常に競争にさらされている緊張感、なにもかも、いままでの花き業界のある意味ぬるま湯めいた世界とは一線を画している、この感覚。
花屋なのになんでユニクロフラワーなんだよ、と言われるかもしれませんが、この事実を感じてテンションが上がらない方が不思議です。
だって花の市場の分母を広げてくれてるんですよ。
今年だけでも新しく何店舗もオープンしているということは、売れてるからですよね。
ユニクロフラワーが売れているということは、花に興味がなかった人が買っている割合がある程度あるはずです。
その割合が増えていくことによって、花の流通が増え、それこそ分母が増えていくということになりませんか。
わたしの店がどうこうとか、花屋だからとか、そこじゃないんです。
全体の分母が今までになく広がっていくことになる、その可能性に対してテンションが上がっているというわけです。
つづく